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【 Vol.3 】小さな島の大きな奇跡

岩坦索麺は五島うどんの原形ではないか=犬塚

 犬塚 日本の麺づくりの文化は大陸から伝来したことが、だいたい定説になっているようですが、その岩坦索麺こそ、五島うどんの原形と言ってもよさそうですね。

 吉村氏 浙江省温州市というところは、五島列島の気候とよく似ていて、椿が多く、麦と米がたくさん収穫されています。生活習慣も同様で、うどんは主食で、贈答品でもあった。
 そして、これは決定的だと思ったことは、永嘉県岩坦鎮の場所からひと山越える場所に、遣唐使が日本に帰る港があったという事実です。
 それらを総合的に判断して、岩坦索麺の製法が、遣唐使によって日本最初の寄港地である上五島に伝わり、その製法が島の人々によって現代へと受け継がれ、日本のうどんの発祥になったという加藤博士の学説は極めて有力だ、と確信するに至ったわけです。

島で息づいたのは地理的な要因が一番=吉村氏

 犬塚 この加藤博士の説を、大学の後輩の吉村さんが教育長時代に見事に裏付けたわけですね。
 ところで、物語の核心とも言える〝五島うどん遣唐使由来説〟を前提にすると、うどんづくりが、この小さな島で絶えることなく伝承されてきた事実をどう捉えたらいいんでしょうか?


 吉村氏 五島うどんが千数百年にもわたって、島の人々の間でしっかりと受け継がれてきた一番の理由は、海を隔てる島という地理的な要因ではないかと思いますね。
 幸いなことに、その時代、時代のさまざまな文化や文明という激流に飲み込まれることなく、ゆったりとした島ならではの時間の流れの中で、ひっそりと、しかし着実にはぐくまれてきたのであろう、と。
 それに、五島うどんは、全国のうどんの中でも麺が細く、そうめんに近い。従って五島うどんは、遣唐使によって伝えられた当時のままの姿が変容することなく現代に伝わっていることが分かるのではないでしょうか。
 五島うどんが「小さな島の大きな奇跡」と呼ばれるゆえんですよ。


(つづく)→【 Vol.4 】船崎うどんのルーツ